消化器内科

肝疾患(肝細胞癌)

肝疾患(肝細胞癌)

肝細胞癌はB型、C型慢性肝炎、肝硬変患者を診療していく上で避けて通ることのできない悪性腫瘍です。近年著しい増加がみられ現在年間3万人を越える死亡数が知られ、更に増加する傾向にあります。

肝細胞癌の9割以上が上記ウイルスの持続感染に基づく慢性肝疾患から発生します。他の悪性腫瘍と異なり、肝細胞癌になる人は決まっています。従ってこのリスクグループを定期的に経過観察することにより早期発見が可能です。C型肝炎ウイルス除去療法には従来、インターフェロン療法が有用で、肝癌予防にも有効であるという点で他の悪性腫瘍との大きな違いがあります。

更に、2014年末よりインターフェロンを使用しない経口抗ウイルス療法(DAA療法)が保険適応されました。この治療は、慢性肝炎のみならず、代償性肝硬変にも適用されます。著効率はセロタイプに関係なく、9割以上の成績が報告され、重篤な副作用が少なく、かつ治療期間が短縮でき、従来困難であった高齢者にも安心して投与できる点で、画期的であり、患者さんに大きな福音をもたらしています。C型肝炎治療が画期的に変革し、パラダイムシフトを迎えていると言えます。

肝細胞癌の治療は大きく内科的治療と外科的治療に分かれ、背景肝の予備能力、腫瘍因子、患者因子により選択されます。実際は患者の多くが肝硬変であり、更に多発、再発するため内科的治療を選択する機会が多いです。

内科的治療法は、経皮的局所根治療法(RFA、PEI、PMCT)、IVR(TAI、TAE、リザーバー)、放射線療法等があります。簡便性、局所根治性の点において1999年より導入された経皮的ラジオ波焼灼療法(RFA)がもっとも優れています。当院でも2001年3月よりRFAを300例以上に施行し、着実な成績を遂げています。RFAは現時点最も侵襲性の少ない、かつ根治性の極めて高いEBMに基づいた治療法と考えます。

なお、当院肝臓専門外来では日頃より酒量が多く肝機能の心配な方、御家族に慢性肝炎、肝硬変のいらっしゃる方、生活習慣病の一つである脂肪肝を指摘された方についても的確な診療、生活指導を行っていますので遠慮なくご相談下さい。

担当:夏木 豊

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