耳鼻咽喉科

えん下障害について

えん下障害について

えん下障害の症状には以下のようなものがあります。このような症状がある方はご相談ください。

  • 食事中にむせやすくなった
  • 飲み込むのに努力が必要と感じるようになった
  • 食事にかかる時間が長くなった、食べる量が減った
  • 食後に痰が多くなった
  • 誤嚥性肺炎をおこしたことがある
  • 喉に何かある感じがする

また、在宅で介護しているが、どのようなものを食べさせたら良いかわからない、どのように食べさせたらよいかわからないといった場合にもご相談いただければ、診察のうえ指導を行わせていただきます。

診察の流れ

① 受診当日に、まず問診と内視鏡によるえん下機能評価を行います。
② 1~2週間以内にレントゲン透視をしながら少量の食べ物を食べていただき、飲み込みの評価をします。
③ 評価の結果、食事の形態、食事の姿勢、自宅での訓練の仕方などを指導させていただきます。
※えん下の状態によっては神経内科、脳神経外科、消化器内科、歯科などの診察をお勧めしています。

えん下障害の原因は様々です

<器質的原因>

  • 咬合を含め口腔内の問題
  • 頚椎症などの外からの圧迫
  • 口腔・咽頭部の腫瘍
  • 食道入口部の狭窄など

<機能的原因>

  • 脳血管障害、脳腫瘍などの頭蓋内疾患
  • パーキンソン病などの神経疾患
  • 重症筋無力症などの神経・筋疾患
  • 食道や胃の病変
  • 低栄養による筋力の低下

えん下障害の程度も様々です

嚙む力 区分1 堅いもの大きいものはやや食べづらい
区分2 堅いものや大きいものは食べづらい
区分3 細かくてやわらかければ食べられる
区分4 固形物はちいさくても食べづらい
飲み込む力 区分1 普通に飲み込める
区分2 ものによって飲み込みづらいことがある
区分3 水やお茶が飲み込みづらいことがある
区分4 水やお茶が飲み込みづらい

食べる楽しさを保つために食事の工夫をしましょう

  • まず噛み合わせの良い歯はあった方がよいでしょう。
  • むやみに禁食にしないようにしましょう。何でもミキサーでドロドロ食にしないようにしましょう。
  • 噛む力の弱い人には繊維成分の少ない食品を食べやすい大きさにし、柔らかくなるよう加熱しましょう。
  • 噛みにくいものは細かく刻むのではなく、細かく切れ目を入れて噛みやすくしましょう。細かくして口の中でまとまりにくいものは誤嚥しやすくなります。
  • 噛んだものをまとめたり、喉に送り込む力の弱い人には、食品を柔らかく加熱するとともに、マヨネーズなどを混ぜたり、とろみ調整食品を加えたりしましょう。
  • 飲み込みが弱く、水でもむせる人には、ミキサーにかけた料理などをゼラチンなどでゼリー状にかためてみましょう。水分もとろみをつけるようにしましょう。
    (以上、「食べる力のサポートブック」藤谷順子より抜粋・改変)
  • ユニバーサルデザインフード(食べやすさに配慮した食品)を試してみるのも一法です。

摂食えん下の5期モデル

1.先行期(認知期)

過去の記憶から食べ物を認識して食べる準備をする。


不顕性誤嚥に注意しましょう

のどは空気の通り道でもあり食べ物の通り道でもあります。食べ物や唾液などが気管に入ることを誤嚥(ごえん)といいます。
普通は、むせて物を出そうとします。しかし、反射が弱くなったり、筋力が極端に弱くなっていると咳が出ないことがあり、気がつかないうちに肺炎を起こすことがあります。

2.準備期

咀嚼・食塊形成期
歯・舌筋、咀嚼筋などで噛んだり、押しつぶしたりして食塊を形成する

3.口腔期 ; 口腔から咽頭へ

食塊が口唇側から舌根側に送られる。
主に舌筋による随意運動。


4.咽頭期 ; 咽頭から食道へ

咽頭に入った食物塊が約1秒で食道に通過。
粘膜の知覚による反射で不随意運動

5.食道期

食塊が食道に送りこまれ、蠕動運動で胃に達する。

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