気管支喘息 適切な治療で重症化を防ごう
軽症の気管支喘息では、症状のある時、症状の出現しそうな時のみ、吸入薬で治療するだけでも一生困らないかもしれません。しかし中等症以上の気管支喘息では、適切な治療を受けないと喘息の気道病変が元に戻らなくなり、少しの労作でも息苦しいという症状が終生続いてしまうかもしれません。
気管支喘息は、気道に炎症が起こり、気管支が狭くなる(狭い気道を空気がとおる時に音が喘鳴です)ために息苦しくなり、気道粘膜が刺激に過敏になるため咳がでます。寝ようとする時に咳が出るのは、自律神経系の変化(気管支を広げる交感神経系の働きが低下)のためです。気温の変化に過敏に反応する、会話をする(気道をとおる空気の流れが早くなる)と咳が強くなります。

気管支喘息では、気道に炎症反応が起こった結果、気道平滑筋が収縮するために気道が狭くなり、呼吸がスムースにできない、すなわち息苦しく感じます。気管支喘息の咳には咳止め(鎮咳薬)の効果は期待できません。吸入β2刺激薬という気管支拡張薬(メプチン、サルタノール:交感神経系を刺激して気道平滑筋を緩める作用)は咳、喘鳴に対して有効です。気管支拡張薬を吸入すると一時的に症状は改善するかもしれませんが、喘息の原因である気道炎症は改善しません。

望ましい治療は、喘息の気道炎症が改善した結果として、狭くなった気管支が拡がり、呼吸が楽になる治療です。吸入ステロイド薬は気道の好酸球性炎症を抑制する抗炎症薬です。吸入ステロイド薬を使用して呼吸が楽になるのであれば、好酸球性炎症が悪さをしていたことになります。
喘息の罹病期間が長い方はアセチルコリンによる気道炎症が病態に関与してきます(咳嗽が長引く遷延性咳嗽の機序の一部にアセチルコリンによる炎症が関与しています)。喘息の吸入治療としてあまり知られていないのが抗コリン薬による治療です。抗コリン薬はアセチルコリンによる気道炎症を抑制します。

喘息治療薬として使える吸入薬としては、吸入ステロイド薬、吸入β2刺激薬、吸入抗コリン薬になります。経口薬(飲み薬)の喘息治療薬は、その効果があまり期待できません。有効性よりも副作用が強く出現してしまう可能性が高くなります。どうしても吸入薬が使用できない場合、貼付薬(皮膚に貼って、徐々に薬剤を体内に吸収する薬)という手があります、小児喘息に対して使われています。
次の一手は分子標的治療薬になります。喘息病態を悪化させる分子を標的にして、その分子機能を抑える薬です。長年の研究の積み重ねにより産み出された薬剤であり、難治性喘息の症状緩和に有用ですが、通常の保険診療でも非常に高価な薬剤です。患者さんの年齢、所帯年収により保険医療負担割合が1割?3割と異なります。高額医療費制度の適応になる場合もあります。

気管支喘息で診察ご希望の方は、山王病院に電話(043-421-2221)して外来診療予約をおとり下さい。